チーム華門・北京珍道中[第2日目・後編] さらに郊外の家具倉庫へれっつGoだ!

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2日目後半戦。

さんざん歩いて、骨董家具街「予定地」ばかりを
確認してしまった一行。
うそだろ~、そんなハズはないんだが・・・!

ジワリジワリと焦りを感じながら、必死に地元の人に
食い下がり、今までよりさらに詳しい聞き込みを開始する。
そして、ようやく地元情報が・・・ッ!!

「あそこの角曲がってまっすぐいくとそんな店、ばっかりヨ。
門はどうかわからないケド。」

うををおおおおおおーーー!!

急ぎ、指された路地をめざし、通りの突き当たりまで駆け抜ける。

突き当たりに出て、左右を見渡すと

あった。



左右に立ち並ぶ「古典家具」の店、店、店が、まっすぐに、ひたすら一直線に続いている。

ここだ、ここなんだ・・・!

ガイド役の任務を果たしたことへの安堵と、ここにあるかもしれないという興奮が、
なんともいえず、腹の底から、こみ上げてくる。

左のこぶしをにぎりしめ、最初にここだ、という店に入った。

店に入って、左を向くと。

・・・これ。
ビンゴじゃない・・・?筒井せんせい?
振り向くと、すでに友伸建設の増田所長がスケールを当てようとしている。

そして、増田さんの声。
「H1800、W120、ほぼジャストサイズですね。」

お、お、お、お、お。 ものすごくテンションがあがっていくのを感じる。
先ほどからシクシク痛んでいた右こめかみが、とたんに脈打ちだした・・・!
痛みは増したが、興奮は冷めやらない。

形は悪くない、装飾の止め具が比較的新しく少しうるさい気もするが、表面の色もいい。

さっそく、店員に聞いてみる。
「これはいつのもの?金具は後付けだよね?本体は古材を組んだもの?どうやって売る?」

答えは、
・本体は古屋解体のときのものをそのまま塗装処理したもの
・金具は腐食していたので、完全に新しいものを取り付けなおした
・門扉を設置する外枠だけは、古材を集めて造り直したもの

そして、価格。
ここで、「どう売る?」ときくのは、中国式の交渉の始まりの合図。
テキストで習う「多少銭?(いくら?)」と聞くのは、すでにこちらに買う意志があるという
前提で話がはじまる、とおもってもよいかもしれない。

はじめから、外枠は買う気がなかったが、全体の値段を聞いていく。

店員 : 「2400元。」(約30000円)
はりこ: (え~~~・・・うっそ、安ぅぅぅ~。想定の3分の1だよ・・・。)
はりこ: 「それで指定の場所まで運んでくれるんだよね?2400っていうのは?」
店員:  「いや、輸送はみな自己手配よ。」
はりこ: 「じゃあ、さらにこの枠ナシで門扉だけだったら?」
店員:  「1900元。」
はりこ: 「1800。輸送も自分で手配するよ。OK?」


ということで、この店では1800元(約25000円)で交渉が成立。

とにかくこれで、最悪の場合でも、持って帰れるモノはできたわけだ!!!!!

これはもう大進歩。この旅の目的は80%達したといってもいいだろう。
われわれも筒井先生も、ホッと一安心。 まずは「やりましたね!」と余裕がでてくる。

余裕が出たところで、さらに店を巡る。

なにしろこの家具通り、延々続きそうな勢いで前後に伸びている。

さらに進んで、何軒かまわってみると、なかなか門扉はないものの、
一軒なかなか立派な門扉が入り口においてある店を見つけた。

「お、ここにもあった!ン~でもこれってちょっとゴージャスすぎますよねぇ~。」
なんてことを口々に言い合いつつ中に入る。
(なにしろもう有力候補が見つかったため、心の余裕に比例して見る目は厳しいのだ)

すると、その奥に。

んん?コレ・・・。
なんか、よくない?

余計なデコレーションもなく
塗装も何もされておらず
ひたすらこの厚みのある木材そのものが、どっしりと門の存在感をかもし出している

この門・・・スゴクいい・・・

直感的に、「さがしていたのはこれだとおもう」と、するりとなにか腑におちた。
どこかから呼ばれていた気がした。
(このモノに呼ばれるという感覚、わがU家では非常に重視する)

「しかし、大きすぎる。」

筒井さんも、この門を気に入ったようだったが、いかんせんサイズが大きかった。
なんとか加工できないものか、とわたしは思ったが、そのレベルではないらしい。

こうなったら、見つけるしかない。
たしかに呼ばれている気がするのだから。こっちから見つけにいくしかない。

「門はここにあるのがすべて?もっとどこか他にある?
 仕入れたばかりでもいい。保管してあるのでもいい。加工もなにもしてなくてもいい。
 これのサイズ二回り小さいの、さがして。見つかったらこの足で見に行くから。」

店番のおねえちゃんにそう告げると、こちらの本気度を感じ取ったのだろう、
すぐに彼女は携帯電話を取り出し、店の倉庫と知り合いの倉庫に連絡をとり出した。

3分後。

「同じ地区で仕入れたこれよりサイズの少し小さいものがあるそうだけど。車呼ぼうか?」

さすがだ、さすがだ、中国人!
その行動力が好きだ!
なんとかしちゃう、その柔軟さが大好きだ!

そんなわけで、倉庫からの迎えの車を待つこと1時間弱。

(おねえちゃんは「遠くない。すぐくる。」と1時間言い続けたが、やはり1時間近くかかった)

迎えに来たおじさんは、なんだか「急かされて車の調子がわるいんだー」としきりに
ぶーこれ連発しながら、出発した。
確かに、この車遅い。安全運転したほうが、いい。。。

でも一生懸命進む車というのは、好感が持てる。
働く機械の代名詞って感じがするじゃないか。

車で走ること、約30分。(いや、40分かな)

ようやく倉庫についた。
さっそく門扉があるという棟に入る。



・・・ここにいたの・・・



わたしのココロはすぐにきまった。

これしかありえない。

もう1つサイズ的に合いそうな門扉もあったが、わたしはこの老大しか見ていなかった。

それから、おじさんとこの倉庫の賃料の話や、仕入れの話、山西省の話など・・・しばらくして、
「おじさん、あの門がほしい。」と言った。

おじさんは、わたしたちの作る家になど興味はないかもしれないとおもったが、
それでも、わたしがどれだけあの門を欲しているかを知らせたくて、
家を作ろうと思ったこと、ネットコンペをしたこと、筒井さんに出会ったこと、
こうしてまた中国に来たことを、つぎからつぎに話した。

おじさんは、うんうんと聞きながら、これからもっと中国骨董家具は売れる、と言い、
そして、この門も大事にしてくれ、と言った。


支払いも終え、ホテルに持ち帰るための車をおじさんが手配してくれた。
おじさん、さようなら。
竣工したら、約束どおり必ず『華門楽家とその門』の写真を送ります。

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