狭小土地に弊害はあるのか? [都市の土地細分化の問題点]

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ここ数年「狭小土地」の活用というのが住宅雑誌
やTVで取り上げられているのを、よく目にします。

今回、我が家もご多分にもれずそのパターン。
(正確には15坪以下を住宅狭小地とみなすそう。
我が家は17坪だから微妙に外れるのか?)
←[江戸の鎮火図]

いやいや、先日編集者とそんな話をしていたら、

「じゅうななつぼぉ~!?そんなの全然狭小のうちに入りませんよッ!!
今は最低でも10坪以下じゃないとネ~ッ」


と勢いよく言われ(最低でもってなにが(笑)?それにそんな鼻息荒くせんでも・・・)
ウーム、これも9坪ハウスの影響なのか~?と実感。

しかし「狭小住宅」。
この5年くらい?ちょっともてはやされたりしているけど実際どうなのかしら?
(元々は狭小地は極小地といったけど、それでは聞こえが悪いので狭小としたらしいし)

確かに 敷地が広ければ、必ずしも快適に暮らせるというものでもなく、
「そこの家の住人がどう使うか」に家のスペックが合っているかどうか?
の方が大事だったりする、というのは、私自身もよく感じていることなのだけれども。

そういう個人の住み心地で住まいを考えるのでなく、都市単位で住宅というものを
考えてみると、狭小ってどうなのかしら!?そんなにいいことなのかしら?

我が家は二人暮し+猫2匹(予定)。
住居としての広さとしては問題ないです、3階建てにするし、
事務所のスペースを考えても、17坪で充分すぎます。
(二言目にはOちゃんの「掃除が大変だし・・・」が聞こえてきますし。。。^^;)

ただ・・・あえて問題とするならば、隣地との接近具合ですよね。

狭小土地が売りに出される背景というのは、そもそも。。。


だいたいが都心で駐車場などにしていた土地が、
「相続」になって売り出されたりした場合、、、

売り易くする為に土地を分割して(=1軒あたり単価を下げて)売出す事が多いらしい。
そのため、20坪以下の狭小地、3階建ての住宅が増えてくる・・・ということのようで。

もともと一つの土地を分割するから、な、な、な、なんてったって境界が密接ですっ。
限りある土地をみんな有効利用しようとしますからね、とにかく隣が近いッ!!

そこに採光を求めないから、中に住まうぶんには全くかまわないと思うんですが、

?外観上の問題

まぁやはり外から眺めると町並みにゆとりがないとは思います。狭小住宅の乱立って。
「個」としては完結していても、全体像として「集合体」という美観もありますから。
いわゆる街並みの景観への影響というやつですな。

よく関西の狭小住宅(木造3F建てで、1Fが駐車場、まるで同じ建物が立ち並ぶ区画)
が地震で大崩壊した写真とかみますが。(崩壊は構造上の欠陥でしょうが)、
・・・あの外観は正直ゾッとするものがあります。

夜になると皆、ポストプレートだけ電気がついてて、車が同間隔で並んで駐車されてて、
これで、「[E:heart04]満室」の看板がないのが不思議だ!!っていうような雰囲気ですから。
だから、周囲のゆとりという面では土地は広くて悪いことはないと思いますよねぇ。

そして、外観の面だけでなく、都市計画という意味で、狭小住宅の増加を手放しで
喜べないのは、やはり防災面の問題がでてくるからでしょう。

?防災上の問題

以前私は工場の防災サーベイなんていうのに従事していたことがあるんですが、
延焼を回避するのに最も有効なのは、延焼するものが「ナイ」ことなんですよね。

今回の建築でも、該当地域は「準防火地区」に指定されており、
それに対応した建材をつかうことが要求されています。

しかし、いくら難燃性の材料を使っても、密集市街地で火災に遭遇して、
影響がないというのはありえませんから、はやり材質が劣化したり、
修復が必要だったり、面倒が発生するんです。

参考までに三鷹市役所の都市づくり方針を抜粋してみると、

・井の頭や上連雀二~五丁目など、木造家屋が密集し危険度が高い
 といわれている地域は、建築基準法の遵守を強く求めていくほか、
 地域全体の不燃化を進める

・災害の拡大を遮断する空間機能を確保するため、沿道の不燃化事業
 を推進するとともに、生け垣化(沿道緑化)を誘導します。 
  ↑これで市から生垣助成金がでるわけですね。

・三鷹市の不燃化率は45.3%であり、延焼火災の危険性がないとされる
 基準値70%を大幅に下回っています。
 今後は、特に危険性の高い上連雀二~五丁目周辺、
 井の頭地区等については、全域を防火地域又は準防火地域に指定< br style="clear:both;" />
              モロに対象地区です!!!!!

やはり、この問題は行政も相当強く認識しているようですね。

そして最後に

?建物の老朽化の問題

今回われわれもツツイ氏に頼んで、うまく工夫していただいたところですが、
これだけの境界距離で家のメンテナンスをしようと思うと、相当に無理があるんです。

定期的にメンテが必要な壁面塗装や、奥にある給湯器が壊れた!なんていうときも
相当事前に家の構造を考えておかないと、結局となりの敷地を使わせてもらって
作業しなければならなくなってしまいます。

それで老朽化しても立て直せない、という事例も多くあるそうです。

本当にこういう家だからこそ、信頼ある専門家にお任せすべきなんですね。

今日の教訓でした。。。


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