
さてさて。いよいよ、施主施工の壁・中後編です。
題名にもあるように、今回「有孔パネル」に柿渋を塗ってみることにしたんです。
でも、「な、なぜ柿渋なのサァ・・・ ・・・ ・・・!?」でしょう???
うん、それがね。
まーた、単純な理由なんだなぁ・・・。
実はこの壁を塗ることが決まったころ、わたしはCONFORTという雑誌の増刊号の
『素材・建材ハンドブック』という本の「塗料」の執筆を担当していたのです。
そこで、執筆のための下調べとして、漆の展示、製作を見学し、大阪でベンガラを見て、
築100年を越す民家の手入れなどの取材を重ねるうちに・・・ホレちゃったんだなぁ・・・。
自然のナマ素材・・・しかも柿渋に。
今・・・なにげに「ナマ素材」と書いてみたけれど、
みなさま、お聞きなじみのあるのは「エコ塗料」とか「自然塗料」などの方ですよね。
でも、実は自然素材・エコ素材というのは、一般の認識としてちょっとごっちゃになっている
部分が大きい。例えば・・・天然塗料と自然系塗料、そしてエコ塗料ってどう違うと思う!?
ここから下は、あくまで取材してみての、自分なりの私見なんだけれども・・・
まず結論から言うと、
「水性塗料は完全なるエコ塗料ではない。
自然塗料は人体に全く無害なわけではない。」 ということです。
まず塗料というものは大体ナニでできているかというとーーー
・顔料(色づけ)
・樹脂(塗料の性質を決める中心になるもの)
・溶剤(うすめ液のようなもの)
・その他添加剤(扱いやすくしたり、塗料を強くするためのモノ)
の4つ。
この樹脂とか溶剤とか添加剤というのは、化学物質であることが多く、
廃棄段階によって、環境に負担がかかるといわれております。
そこで、近年叫ばれているのは「エコロジカル塗料」。
イメージとしては、「環境にやさしく、人体にもやさしい=エコ」です。
水性塗料などがよくその代表として、店頭でも勧められています。
水性塗料は、塗料の臭気が少ないことがメリットといわれています。
これは、つまり空気中に揮発する化学物質が少ないということ。
人体には低刺激なので、「エコ」なわけです。
しかし、環境に対してはどうか・・・?というと、以前よりはずっと
改善されているとはいえ、まだまだ「溶剤」「添加剤」は廃棄の際に
環境負担になることは否めないのが現状のようです。
では、逆に完全に自然由来のものしか使わない!!!!!
という「自然塗料(天然塗料)」はどうなんでしょう?
例えば
・漆
・柿渋
・ベンガラ+亜麻仁油+菜種油など。
これは自然から採ったものだから、廃棄しても自然に帰るでしょう。
そういう意味では環境負荷もなく、メデタシメデタシ・・・と。
・・・いや、でもちょっと待って!!!
実は自然素材だけに!注意しなければならないこともっ。
漆:かぶれる人もいますよね?
柿渋:独特のタンニン臭が相当匂いますね
それに、オレンジピール成分というのも最近注目されて、
食器洗剤なんかにも天然由来成分として配合されています。
でもね、オレンジピールオイルの芳香臭もアレルギーの原因に
なることがあるんです。体が刺激臭として反応してしまうんですね。
だから、自然素材だからといって、
必ずしも「人体に良いとは限らない」のです。
アレルギーや敏感症の方が利用するなら、自然素材よりも
かえって、低揮発性の水性塗料を使用した方が安全ということにも。
要は、用途と塗装面積、塗る人との相性に応じて塗料を選ぶ
ということがとても大事になってくるんですね。
今日はエコロジカル塗料についてでした!!
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